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旅人の生活をしている。
僕の職業はツアーコンダクター。
ほぼ毎週関東の何処かの観光地に赴いている。

12月上旬、今日は35人のお客様を連れて静岡県伊東市に来ている。
今日のお客様は、集合場所が葛飾・亀有で
老人会の慰安旅行である。
仲間意識が高い会みたいでみんな朝からバスの中で楽しそうに飲んで歌っている。

添乗員の仕事は過酷だ。
朝から晩まで働き通し
ただで旅する事が出来るから羨ましく思えるかも知れないが
実際は、旅を楽しむ余裕など無い。
良い客も居れば悪い客も多い
人間を許すことそして聴き所上手で無ければ上手くいく事もない。

今日の宿は馴染みの伊東ビューホテル
今年何回目の宿泊だろうか?
だから、ホテルの人間は顔馴染みだ。

受付の美代ちゃんはホテルの中で
飛びっきり美人で愛嬌があり人気者だ
僕のオヤジギャグそして軽い下ネタ話も上手く交わし楽しんでくれる。

夜ひと段落をしてホテルのロビーに向うと
受付の美代ちゃんがいた。

「やぁ、お疲れさん今日は夜勤?」

「そうなんです。当番で」

「そっか、今日は土曜日なのにデートも出来ないね」

「相手がいませんよ」

「休みが合わないから振られたばかり」

寂しそうに笑う美代ちゃんを見て
こんな美人なのに上手く行かない恋もあるのかと
何故か一瞬‘せつなさ’を感じた。

「中原さん恋人は?」

「旅人は恋人を作れないよ、寂しいね」

「うそつき、色んなホテルの従業員を口説いているでしょ?」

「アハハハ」

「クリスマスの日、宿泊が入っていましたけど
 中原さんはまた、添乗で来るんですか?」

「いやぁ、その日は違う人が添乗で来るんじゃないかな?
 僕は確か鬼怒川の方だ」

「じゃぁ、今年最後ですね・・・・・」

「今年もありがとう、また来年よろしく!」

彼女とホールで別れ
何故か先ほどの‘せつなさ’が蘇える。
窓を見るとクリスマス用のイルミネーションが眩しい

そして、何気ない旅の日が続いている。


クリスマスの日、僕は何故か電車で伊東に向っている。
僕の方のお客がキャンセルが多く添乗無しになり
そして、同僚が今回のツアーのお金を会社に忘れ届けに向っているのだ。

時刻はPM20:18分。
伊東のビューホテルに到着。
待ち合わせした会社の同僚にお金を渡し
無事今日の任務は完了。
ロビーの方に眼を向けると
美代ちゃんはいなかった。

「今日は休みか・・・」

同僚に別れを告げ東京に帰ろうとすると
ロビーの反対方向から美代ちゃんが手を振ってきた。

「あれ、今日はどうしたんですか?」

「伊東に居る愛しい恋人にひとめ見ようときた」

「私の魅力に気付きましたか?」


波風が優しい音色を呼んでくれる
今日だけは恋人も居る人も居ない人も
同じ詩が流れてゆく 
難しい言葉は要らない
無邪気だった 子供頃の願い事を思い出せば
詩が彩られ 優しい気持ちになれる


そして、僕は
帰り際鞄の中から
小さなクリスマスケーキとメッセージカードを渡した。

‘頑張っている美代ちゃんに、メリークリスマス’
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