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妻と結婚して5年になる。
昨年町の郊外にマンションを買って二人で住んでいる。
自分で言うのも変だが妻は気立てが良く料理も上手で
綺麗だ・・・

そんな昨日の夜些細な事で喧嘩してしまった。
内容は何とも言えないんだが
来年の春何処へ旅行へ行くのかを決めていた時である。

「ナオコ」の行きたい所でいいよ
って、言ったひと言がどうもお気に召さなかったらしい。
自分にしたら彼女の喜ぶ所なら何処でもいいいし
それに大抵彼女が我が家の物事を決めているのである。
機嫌が悪くなったのは分かっていたがそれ程気にも留めず
その夜は寝てしまった。

で、翌日・・・

いつも通り朝食を作ってもらい
食べるその時である

「召しやがれ」

その時は気にも留めえないひと言だったが
会社のデスクに座り
よくよく妻のその言葉を思い出した。

いつもは確かに

「召しあがれ」と言ってたはずである。

その夜も夕食時妻のひと言を
注意深く聞いていると

「召しやがれ」

まだ怒っている。
表情を見ている限りは怒っていないように見えるけど
言葉で表現している。
5年一緒に住んでいるが新たな妻の怖さを知った。

翌日の朝も次の日も
彼女の怒っている表現は

「召しやがれ」

さすがの自分もそろそろ仲直りのきっかけが欲しい
そうだ明日は、クリスマス・イブだ。
たまには、ご機嫌をとる為仲直りをする為
花とケーキを買って早めに家へ帰ろう。

街はツリーのイルミネーションが綺麗に映りだす
誰もがみな家族の下へと帰りだす
きっと今日だけは仲直りのきっかけを作ってくれるよね?
急ぎ綺麗な花とクリスマスケーキを買って家へ帰り
妻の下へ帰る。

「メリークリスマス」

妻の表情に笑顔が蘇った。

北風が切なく
でも家族の団欒は暖かい
口笛は君だけに聞こえるように
今宵歌われる

そして妻が作るクリスマスディナーの言葉は

「召しあがれ」

僕はそのひと言を聞きたくて

「メリークリスマス」
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旅人の生活をしている。
僕の職業はツアーコンダクター。
ほぼ毎週関東の何処かの観光地に赴いている。

12月上旬、今日は35人のお客様を連れて静岡県伊東市に来ている。
今日のお客様は、集合場所が葛飾・亀有で
老人会の慰安旅行である。
仲間意識が高い会みたいでみんな朝からバスの中で楽しそうに飲んで歌っている。

添乗員の仕事は過酷だ。
朝から晩まで働き通し
ただで旅する事が出来るから羨ましく思えるかも知れないが
実際は、旅を楽しむ余裕など無い。
良い客も居れば悪い客も多い
人間を許すことそして聴き所上手で無ければ上手くいく事もない。

今日の宿は馴染みの伊東ビューホテル
今年何回目の宿泊だろうか?
だから、ホテルの人間は顔馴染みだ。

受付の美代ちゃんはホテルの中で
飛びっきり美人で愛嬌があり人気者だ
僕のオヤジギャグそして軽い下ネタ話も上手く交わし楽しんでくれる。

夜ひと段落をしてホテルのロビーに向うと
受付の美代ちゃんがいた。

「やぁ、お疲れさん今日は夜勤?」

「そうなんです。当番で」

「そっか、今日は土曜日なのにデートも出来ないね」

「相手がいませんよ」

「休みが合わないから振られたばかり」

寂しそうに笑う美代ちゃんを見て
こんな美人なのに上手く行かない恋もあるのかと
何故か一瞬‘せつなさ’を感じた。

「中原さん恋人は?」

「旅人は恋人を作れないよ、寂しいね」

「うそつき、色んなホテルの従業員を口説いているでしょ?」

「アハハハ」

「クリスマスの日、宿泊が入っていましたけど
 中原さんはまた、添乗で来るんですか?」

「いやぁ、その日は違う人が添乗で来るんじゃないかな?
 僕は確か鬼怒川の方だ」

「じゃぁ、今年最後ですね・・・・・」

「今年もありがとう、また来年よろしく!」

彼女とホールで別れ
何故か先ほどの‘せつなさ’が蘇える。
窓を見るとクリスマス用のイルミネーションが眩しい

そして、何気ない旅の日が続いている。


クリスマスの日、僕は何故か電車で伊東に向っている。
僕の方のお客がキャンセルが多く添乗無しになり
そして、同僚が今回のツアーのお金を会社に忘れ届けに向っているのだ。

時刻はPM20:18分。
伊東のビューホテルに到着。
待ち合わせした会社の同僚にお金を渡し
無事今日の任務は完了。
ロビーの方に眼を向けると
美代ちゃんはいなかった。

「今日は休みか・・・」

同僚に別れを告げ東京に帰ろうとすると
ロビーの反対方向から美代ちゃんが手を振ってきた。

「あれ、今日はどうしたんですか?」

「伊東に居る愛しい恋人にひとめ見ようときた」

「私の魅力に気付きましたか?」


波風が優しい音色を呼んでくれる
今日だけは恋人も居る人も居ない人も
同じ詩が流れてゆく 
難しい言葉は要らない
無邪気だった 子供頃の願い事を思い出せば
詩が彩られ 優しい気持ちになれる


そして、僕は
帰り際鞄の中から
小さなクリスマスケーキとメッセージカードを渡した。

‘頑張っている美代ちゃんに、メリークリスマス’
2013.07.31
ずっと僕には後悔と懺悔の心がある。
忘れたくても忘れられない出来事

それは・・・

小学生の頃、同級生の女の子に悪戯したときの事だ。

1学期が終わる頃、小雨が降っていた下校時の時
前を歩く二人組みの彼女らを発見し
僕から見たら派手で、子供ぽく見えない傘を持つ彼女が視線に入った。
白い花柄の大きな傘だった。
当時から僕は悪戯好きだったから
彼女の持つ傘を取上げ振り回し壊してしまった。
泣き叫ぶ彼女、僕は悪態を付いてその場から逃げた。

翌日、謝る事もせず1学期が終わる終業式の日
彼女が転校する事を聞かされた。

壊した傘がお母さんの形見の傘だった事を同級生から聞かされ
心がやけに痛んだ。

「謝らなければ・・・」

そう思っても、既に彼女はどこか違う街に行ってしまい
2度と逢うことが出来なかった。

今も忘れない出来事として
30年近く経ってもあの時の光景
彼女の涙が忘れる事が出来ない。


仕事が終わり高円寺駅へ向かう
一日中降っていた雨も少し止んできた。
家路に急ぐ人達に紛れ立川行きのホームに立つと

反対側のホームに
あの時、僕の壊した白い傘を持つ女性が反対側のホームに立っていた。

幻だろうか?
不思議な感覚に襲われていると
僕の視線に気が付き

そして、僕らは目と目で会話をした。

「あの時は、大事な傘を壊してゴメン」

「うん」

「お母さんの形見の傘って後で聞いた
 本当に壊してゴメン」

「もういいよ、昔の事だよ」

「それより・・・」

「それより?」

「何で私の事意地悪したの?」

「それは・・・」

「私の事好きだった?」

「・・・」


ほんの一瞬の煌きが
あの頃の情景を映しだす

‘間違いなく僕は君の事が好きだったんだ’

だから君の事を意地悪して
今も胸が痛んでいたんだ。

新宿方面の電車がやってくる
そして彼女は乗り込み
窓向こうで軽く会釈をした

雨が止んでくる
見上げる空がほんの少し微笑みかけてきて
自分が抱えていた罪悪感が少しずつ消えてゆく
‘光と影’が交差した

僕はただ見送るだけ

「君は昔と変わらず綺麗だった」
何気なく通ったパチンコ屋のBGMが外に聞こえ
僕は立ち止まった。

浜省の‘ひとりぼっちのクリスマス・イブ:MIDNIGHTFLIGHT’が流れていた。

この歌には思い入れがある。
高校生の頃の話だ
当時はまだCDなど無くレコードからカセットをダビングして
ウォークマンで音楽を楽しんでいた。
クリスマスの日に、付き合っていた彼女にこの歌をダビングしプレゼントした。

ひとりぼっちのクリスマス・イブ

彼女の感想は

「凄くいい歌だけど、淋しい曲だね」

「それとも、私達の未来の歌?」


僕はこの歌を今も好きでそして口ずさむ事が出来
そして今も歌っている。
だから、この歌の主人公のように、
そして、17歳ぐらいから聞いているから
今日もクリスマスはひとりなのかな?

思わず空を見上げ苦笑い
そうすると不思議なイルミネーションの光が
音色を作り唄っている。

‘サイレンス・ナイト’

やがて、雪が降ってきて みぞれ交じりの街が
何かの呪いの魔法を解いて
光の先に君が立っていた。

幻でもいい 今日ぐらいは君に逢いたい

‘メリークリスマス’
2012.11.11 街路樹の歌
転職して半年が過ぎようとしている。
慣れない仕事はストレスになり
身体を痛め時に眠れない夜を数える
経済新聞を手に満員電車に揺られ
朝の早い一日が始まる。

僕の住む街から7つ駅を乗り継ぎ仕事場がある。
近くにはアメリカの基地があり
頭上には多くの軍用機が飛んでいる。

駅から会社まで歩いて10分ぐらい
いつもの事なんだが
同じ時間・同じ場所
すれ違う女性がいる。

目のクリッとしたショットカットの似合う小柄女性だ。

僕は彼女と毎朝ここで出会えることを秘かに楽しみとしている。
僕の勝手な思い込みもあるが
彼女は僕とすれ違いざま
必ず前髪を触りはにかんだ顔をする。
明らかに少しは意識をしてくれているみたいだ。

僕はカッコを付け興味の無いような顔をしている。
明らかに第三者から観ると変だと思われているかも知れない。

ドラマならここで何かリアクションをするけど
僕にはそんな勇気はないね

雲の流れが早く青空が綺麗だ。

橋を渡る前に、ひとり言を空に投げてみる

‘今日もここで君に逢える’

同じように目と目が合い小さな歩道ですれ違う
今日こそ「おはよう」と・・・
言えたら何かが変わるだろうか?

今日も言えないね
真昼の月がホンの少し笑っているように見えた。


今日もすれ違い目と目が合った。
何も変わらない関係は今日も続いている。
彼女の髪型が今日は後ろを結わいている髪型だった。
すれ違いざま僕は何故か
ひとり言を呟く

「髪が綺麗ですね」

歩道の角を曲がる時、もう一度彼女と目が合った。

彼女は、はにかんだ顔で

「おはようございます」

そして、駅へと走っていった。


新しい恋は またひとつ街に生まれ

その街の街路樹達が

優しく歌い続ける


僕は明日どんな顔をしたら良いだろう?

ねぇ、教えてよ・・・

クリスマスの日

僕はたった一日だけ 君に逢いに戻ってくる。

その日だけは、魔法を使わせてよ


空が沈み その日のイルミネーションが光り輝く 
乾いた風が頬に伝う 白い吐息は空に消え

僕はひとり言を呟く

‘今年も君が元気でいてくれたら嬉しいのだが・・・’


街はクリスマスムードで賑っている。
どの時代も大変だね
ある男性は、惚れた女性の為に高価のプレゼント選びに夢中だ。

駅の方へ目を向けると 
可愛い女性が諦めに似た顔で 空を睨んでいる
彼が来るのを待ってるのだろう・・・ 

‘彼が来ますように’

そうすると
僕の声が届いたかのように
彼女の彼は、駅の反対側から走ってきた
泣き出しそうな顔で喜ぶ彼女を見て

‘メリークリスマス お幸せに!’


しばらく僕は街を歩く
そうすると恋を何年もしてないのかな?
仕事疲れの物寂しそうなひとりの女性が
僕の前を通り過ぎてゆく

‘今日の主役は君だよ’

クリスマスの夜ぐらい
夢を見ても良いじゃないか?

‘ふたり 踊ろうよ’


大人になると建前や目の前の忙しさに
自分を見失う事がある
今夜、何もかも忘れて踊ろう

そして、光のライトアップが 僕らを優しく包む


優しい暖かい雪が 
ひとつ、ひとつ 舞い降りてくる
まるで、僕の帰りを急かすように
カウントダウンを始める・・・

『今度、いつ逢えるの?』

『来年、また来るよ!』

『じゃ、365日分 好きって言って・・・』

ときめきを鼓動に変え リズムになり
雪の奏でる声が 詩に変わる

『365日、君が好きだ』

『もう1回!』


暖かい雪が溶け始めてくる
まるで、夢を見ているかのように
僕の恋が今年も消えてゆく 
そう 魔法が解けるように


そして雪が本当に消える前に

君だけに

‘メリークリスマス’
僕の職業は小説家である。

でも、実際の所 本がたくさん売れて
世の中で名を馳せている訳でもなく
売れない物書きの毎日の生活は苦しい。
午後の仕事からは、朝方までのバイトで日常を追う。
書くこと以外で趣味を探しても何もない
唯一の楽しみが行き付けのファミレスに通う事だ。

そこで働いているひとりの女性に僕は想いを寄せている。

ネームプレートに書かれている

‘キノシタ’

それだけが僕が知っている彼女の情報だ。
後は何も知らない。
歳は幾つだろう?結婚している女性なのか?
それとも独身なのかな?

僕の妄想と勝手に描き書いている物語では

もちろん

‘彼氏のいない淋しい女性だ’

彼女の笑顔を見ていると心が和み
心地良い接待の態度を見ていると
日常の日々を忘れさせてくれる。
もしかしたら‘癒やされる'って事は
こういうことを言うのだろう。


本日はクリスマス・イブだ。

街はカップルで賑わい
家族がいる者は急ぎ家路へと急ぐ
僕はひとり安らかな休日を求め彼女にいる店へと向かう。

ドアを開け いつも直ぐに接待に出てくる彼女が今日はいない。
店の中を探しても 何処を見てもいない

『今日は休みなのだろうか?』

僕のひとり言は、朝から降っている雨へと消えてゆく

がっかりしたまま飲むコーヒーは苦く
好きな人に逢えない日は淋しいものだ。
諦めかけ店の外に出ると

そして、何故だろう?

 雨が上がり 雪へと変わってゆく

後ろを振り向くと彼女が立っていた。

僕は驚き 咄嗟に

『これから僕と一緒にクリスマスを祝いませんか?』

『はい、喜んで!』

夢見たいな出来事が続いている。
これは夢なのか、それとも神様からのクリスマスプレゼントだろうか?

3流小説家の口説き文句は続いてゆく

『メリークリスマス』

今宵 聖なる響きが
僕の物語を 詩へと替えてゆく
終わりなき物語は 
果てしなく 長く長く続いてゆく
2010.09.19 CANDY

今年の夏で僕も40歳になった。
月日の流れは早いものだ
昔描いた夢は何処か彼方へ・・・
もう夢を見ることすら忘れてしまうぐらい
忙しい一日を今日も慎ましく生きている。

昨夜夢を見た。
出てきた夢の中は
もう、20年前の僕と初恋の彼女の夢だった。

同じクラスの彼女は
みんなのマドンナだった。
僕は彼女の気を引こうと仲間とバンドを組んで歌っていた。

一冊のノートが残っている。
詩の内容は・・・

甘い‘君へのラブソング’

笑ってしまうぐらい
純情だった
何かに夢中になれて真っ白のままだった。


ある日、学園祭でのライブを終えて彼女の家へ向かった。
家の人に分からないように彼女は僕を迎えてくれた。
初めて入る女性の部屋、何処か凄く神聖で緊張した事を覚えている。

学校の事、家の事、趣味の事、友達の事、ライブの事
そして将来の事を夜中まで話をした。

時間は0時を周る頃、彼女が

『飴食べる?』

『うん、頂戴』

彼女は自分の机から飴を取り出し
その飴を口移しで
僕にくれた


初めての‘Kiss’


精一杯今を生きている。
そんな時間だけがあっという間に過ぎてゆく
時々、何もかもが忘れかけてゆく
今年の夏もまた通り過ぎてゆく

今も
彼女との一瞬の夢は忘れた事はない

窓から綺麗な雲が流れてゆく
彼女は何処でこの雲を見ているだろう?
 
 僕はクリスマスが嫌いだ。
 
 なぜって・・・
 
 モテナイ男・彼女のいない男にとってその日は残酷すぎる。
 追い討ちを掛けるように年末だ仕事も忙しい。
 
 それに・・・

 その日は僕の誕生日だ。
 依りによってそんな日が誕生日だなんて運命も儚いよ。

 
 時計の針は20時を差している。
 今日だけは、家族持ちの人、恋人のいる人達は
 我先と会社を後にして去ってゆく。

 オフィスに残っているのは僕だけ
 苦笑いしながらそんな日も関係ないと
 パソコンで資料を作っていた。

 ふっと、斜め後ろを見ると
 会社一美人のナオちゃんがまだ残業で残っていた。
 彼女の天真爛漫の笑顔を見ていると
 毎日が癒やされているんだ。
 
 
 『ボクハ、キミノコトガ スキデス。』

 誰に読ます事もないけど
 パソコンに書いては消してみる。
 
 これまで、ろくに話した事も無くて
 微妙な距離はいつもの事
 彼女は僕の想いなんて知る訳もないし
 存在すら分かっていないよなぁ。

 パソコンを見ながら
 ため息をついていると
 会社の新着メールが届いた。
 
 『お仕事、お疲れ様です。まだ残業ですか?』

 驚いて後ろを振り返ると
 彼女が手を振っていた。
 
 戸惑いながら、返信メールを送った。
 
 『もう、終わります。』

 直ぐに返信メールが来た。

 『もし良かったら、お食事しませんか?』

 えっ、マジ?これは何かの間違い?
 からかわられている?
 それとも神様からのプレゼント?
 戸惑って、返信メールの言葉を探せない・・・

 そうすると彼女からのメールが

 『行きますよ!』

 ウインクをしながら近寄ってきた。


 どんな心境で僕を誘って来たのか
 誰か彼女の心を聴いて欲しい
 胸の鼓動が弾けてゆく

 今宵、
 聖なる鐘が夜空に響く
 今までの中で最高の瞬間だ。

 
 『メリークリスマス』

 彼女が僕のコートに手を入れて呟く。

 そして・・・

 『誕生日おめでとう』

 『知ってたの?』

 『はい、昔から・・・』
 
 
 見果てぬ空から 天使が舞い降りてきて
 僕らを祝福してくれる
 
 きっと、これからも・・・

 
 もう一度、呟こう

 ‘Merry Christmas’  
僕は今都心を離れ 京都へ向かっている。
男のひとり旅だなんて笑われるけど
たまには良いものだ。

京都と言えば、昔ながらの寺院が有名だけど
僕はそれらにさほど興味はない。

今回の旅は 
ゆったりと美味しいコーヒーを飲みたいだけ

しばし、古都の街を歩く
少し寒い 冬の空だ。
ひとつ道を挟んで裏道を通ると

‘心温まる 淹れたてコーヒーの店’の看板を見つけた。

僕は引き込まれるように店内に入った。
店は、古き良き昔の喫茶店で
水出しコーヒーの器具が目に付き
香り豊かなコーヒーの匂いが心をときめかせた。

僕はカウンターに座り
マスターが淹れてくれた最高のコーヒーを飲む。

『美味しい。』

僕は心から

『マスター美味しいです。心が温まる味だ。』

マスターは嬉しそうな顔をしてくれた。

『お客さん、どこかで見た顔なんやけど・・・』

『きっと人違いですよ・・・』

僕は、静かに微笑んだ。



『お父さん、買い物買ってきたよ』

『ありがとう、さっきまで来ていお客なんやけど
 どこかで見た顔なんや
 もしかしたら、お前と昔付き合ってた
 そうそう、肩を壊して野球を辞めたとか言ってた奴に似ていたわ』

『ホント?』

『髪の長い奴で、つい今までそこに座ってたわ』

『まだカップが暖かい・・・』

急いで彼女は店の外に出た。
何処を向いても 探し出せない

‘そんな空に向かって、
   キミは 小さな声で 僕の名を呼んだ’



近くの公園に向かう。
1人の少年が壁に向かってキャッチボールをしていた。
僕は少年に近寄り

『オジサンとキャッチボールをしないか?』

『いいよ!』

『肘をもう少し伸ばすとコントロールが良くなるぞ!』


星が輝いて見える。
京都の星空は綺麗だ。
切なさが今夜も揺れている
僕は何故 ここへ来たのだろう?

‘誰かが僕を導いたのかな?’


少年は僕が去った後もまだ壁に向かってキャッチボールをしていた。

『そろそろ、家に帰るよ』

『うん、もうちょっと 
 さっきおじさんに教わった投げ方をマスターしたいんだ』

『どんな人に聞いたの?』

『髪が長くて・・・でもスゲェ上手かったよ』

『‘マツザカ’よりカッコよかった?』

『うん』
自然に囲まれた田舎街に住んでいる。
山々に囲まれ大きな川が流れ
今日も頭上には大きな鷹やトンビ気持ち良さそうに空高く飛んでいる。
僕はこの街が好きだ。

会社へは、始発駅のこの駅から30分掛けていつも通っている。
毎朝、億劫なのが電車通勤だ。
誰でもそうだろうが激務の翌日の朝などは
とても気持ちの良い思いをしながら会社へなんて行けないものだ。

僕は8時5分発の電車に乗り込み
決まって6号車両の角隅に座っている。

毎日同じ時間、同じ車両に乗っていれば
だいたい同じ面子がこの電車に集まる。
会社員・OL・学生・医者へ通う老人の方
または、旅に出掛けるのだろうか?大きなバックを持つ人など
色んな人間模様が重なり合い
列車は今日も揺られ1日の朝を走っている。

不思議な出逢いは誰にでもある。
時々思うことだけど
誰かと出逢う運命はきっと神様が決めているのではなく
出逢えなければならないっていう運命があるから
必然と出逢うのではないのかと・・・
でなければきっと出会う確率なんてある訳ないと思うんだ。

今日も車窓から見える空は綺麗な青空を見せてくれる。
吸い込まれそうな空が
ひとりの女性へ僕の視線を独り占めにした。

彼女は、僕の乗る駅から三つ後の駅からいつも乗って来ていた。
最初は、目線を合わすことなく
ただ、6号車両の一人として見ていただけだった。

ある日、偶然僕の横の席が空き彼女が隣に座った。
手には携帯と子供らしきからの手紙を持っていた。

何気なく覗き込むと

‘ママありがとう。’ って書かれていた。

『彼女は人妻なんだ・・・』

僕のひとり言は車窓の外へ消えていった。

大雨の日、彼女は偶然僕の前に立っていた。
6号車両はその日に限って混雑していて
彼女のパラソルの傘が僕のスーツを水浸しにした。
気が付いた彼女は

『ごめんなさい、これで拭いてください』 

白いハンカチを差し出してくれた。

『大丈夫ですよ、気にしないで下さい』

彼女は、その後も同じ駅に降りて頭を下げていた。
僕が改札口の中を消えるまで頭を下げていた。

『何て、ちゃんとした女性何だろう・・・』

僕の心は1日仕事をしながらも彼女にあった。

翌日、彼女はいつものように6号車両に乗り込んできた。
一度だけ視線が合った。
彼女も僕に気が付いている。
目線で頭を下げた。

駅に降りた時に、彼女は話しかけてきた。

『同じ街で働いているのですね、私はそこのビルの4階で
 営業事務で働いています。』

初めて、会話らしい話をした。
降り際彼女が一枚の紙切れをくれた。
彼女のメールアドレスだった。

僕は戸惑いながらもメールをする事が出来なかった。
彼女は結婚している女性なのだ。

しばらくしてから
また偶然に彼女が横に座る事があった。

彼女は、耳元近くで

『メール待ってるんですけど』

微笑みながら話しかけてきた。

僕は言葉に詰まりながら

『メールをしなかったのは君が結婚している女性だから・・・』

言い終えると彼女は僕の携帯を取り出し
勝手に赤外線でメールアドレスを取っていた。

駅に降りるときに

『私、結婚なんてしてませんよ』

彼女はウインクをしながら駅のホームへ消えていった。


‘それから僕らは・・・・・’


後で知った事だがあの手紙は
彼女の姉の子供からの手紙だったそうである。


今日も8時5分発の列車は走る。
色んな人の人間模様を映しながら
今日も僕らはその列車に乗り込む朝を迎える。

何も変わらない風景がいつまでも続く
彼女と二人だけ

‘今日も車窓から見える景色が綺麗だ’

不器用な生き方をしている俺さ
今日も星空は輝いている。
輝き続けられる人はどれ位いるのだろう?

22歳の時だ、アルバイト先で1人の年上の女性に惚れたのさ
若い俺は彼女に夢中になった。
それから直ぐに二人の間に
『新しい命』が生まれ結婚した。
若かった俺は、子供の頃から‘家族’と言う温もりを知らなかった
凄く家庭という物に憧れ 幸せをこの手で掴みたかった。
だから、直ぐにギターを捨て働き出した。 

仕事はキツイ物を選んだ。
世は当時、3K何て言われていた時代だ。
俺は金の為、進んで
汚れる事もいとわず夜遅くまで働き続けた
すべては家族の為に。

歯車が狂ったのは3年前だ。
いい訳じゃないけど
いつも同じご飯ばっかり食べていたら飽きるだろう?
たまにはパンとか変化がないとダメじゃない?
そんな時、魔性の彼女と出合った。

‘俺の心に入り込んできた’

何もかも新鮮だった。
今まで、立ち止まる事の知らなかった
世間知らずの俺が
色んな事を学んだよ

そう、ナイフの持ち方から踊る事の楽しさも
キスの仕方もね
すべてを彼女が教えてくれた。

俺は相当彼女に酔ったよ・・・・・

いつも心の中で妻と子供に詫びながら
彼女の元に毎日通い続けた。

よくよく考えりゃ
俺と彼女は釣り合いが取れてなかったな
彼女は遊びで俺は本気だった。

酔いが醒めたときは
金も家族もすべて失っていた。
娘が小学生に上がる前の事だ。

もちろん、すべてを失った俺に興味も無くなったのだろう
やがて彼女は俺の前から消えた。

『魅力が無くなったと・・・』

不思議と涙は出なかった。
ただ、その頃から飲み続けた。
俺に残ったのはギターだけだ。

夜遅く錆びたギターを弾く
音色は今も心に響く
星は変わらず綺麗だ。


『大丈夫、私がいるから・・・』

不思議と巡り会いのように
1人の女性と出合った。
同級生の彼女だ。

彼女は俺のすべてを受け止めて
今一緒に暮らしている。
今年の春のことだ。

人は過ちを繰り返す事もある。
運命は儚い物だ
誰もが不器用に歩き続け 
時に人を傷付けることもあるだろう
でも、それでも 歩き続けて行かなければならない

‘But I walk this way’ (されど、この道を歩く)

『もちろん君と・・・』

クリスマスのこの時期
立川の昭和記念公園のイルミネーションは綺麗だ。
200m続くイチョウ並木・光のトンネルの中をひとりで歩いている。
やはり、この時期この公園でのイベントに訪れるカップル・恋人が多い。
人混みをかき分けながら
青い鮮やかな光に目をやられる。

すれ違う恋人達を見ながら
数年前の恋人との 幸せだった時の事を思い出す。

彼女は、子供と綺麗な花が誰よりも好きだったね
四季の花を楽しめる、昭和記念公園は彼女のお気に入りだった。
この公園をよくふたりで歩いたものだ。

出逢った頃は金も無く
夢だけが大きかったけど
だんだん、仕事も上手くいき
金を手にすると僕は少しずつ変わっていった。
大切な物が彼女だって事に気付いていたくせに
仕事と違う女性に走ってしまった。

数年経った今も 後悔が大きい
何をしても 何を食べても
夢を手にしても
誰かを好きになっても
彼女以上のものはない。

『人生の答えは難しい物だ』

まるで、僕の心は 今も公園内にある
‘光の迷路’のようだ。 

さまよう心を 今夜も繋ぎ合わせながら

‘ここに来れば いつか君に逢えそうで・・・・・’

その時、星空が憎らしげに
メロディーを僕に奏でてきた。

『嘘だろう?』

ライトアップされた夜空が
イルミネーションの光りに合わせ
大きな放物線を放ち
使い古された僕の言葉が
今宵 歌に変わる

『メリークリスマス 君だけに・・・』

いつからか、雪まで降ってきた。
白い雪に音色が心地良い
寄り添う恋人達がメロディーに合わせ踊っている。

『彼女も何処かの街で踊っているかな?』

‘今宵、いつまでも歌うよ・・・’
2008.10.20 花火

夏に地元へ帰ったときの話だ。

ちょうど地元広島は、夏祭り真っ最中で
結婚してから僕は、
一度もこの時期に帰らず
何年振りだろう?
久々の地元夏祭りだ。

相変わらず盛り上がっている。
人混みが多い
屋台が多く立ち並ぶ、一人娘のミカは、
目を輝かせながら屋台を見つめはしゃいでいる。

一つ目の大きな花火が夜空に舞った。

みんなが夜空を見つめながら
夏の宴を楽しみ
心地よい夏風とビールが美味しい。

『綺麗・・・』 娘がつぶやく。

頭を撫でながら、打ち上げられる花火を見ていると
ふっと、何故だが
屋台の方に目を向けると
小さな男の子の手を引きながら浴衣姿の女性が見えた。
横には見知らぬ背の高い男性
そして、立ち止まり目と目が合った。

何年振りだろう?十年振り?
元カノがこっちをずっと見ていた。

やがて、何の悪戯だろう?
子供の手を引かれ彼女達が僕らの方にやってくる。
心なしか彼女はこの偶然を楽しんでいるかのように
微笑んでいるように見える。

『ド~~~ン』

二つ目の大きな花火が打ちあがる。

気が付くと僕と彼女の距離が
どんどん近づき手と手が触れ合う距離にある。

心臓が何かを解き放ち
花火が 詩に変わる

‘何も変わっていない、昔のまま綺麗だよ’

思わず心の中で、呟いた。

『ド~~~ン』

三つ目の大きな花火が打ちあがる。

僕のひとり言が届いたのか
すれ違いざま、彼女の左手が僕の手を触れてきた。

‘ドッキ’とした・・・

唖然として、立ち止まる僕に目もくれず
何事も無かったように、
彼女らは人混みの中に歩を進める。
人混みに紛れ込む前に
彼女はこっちを振り向いた。

口元から

『ゲ・ン・キ・デ・ネ』


今一度、大きな大きな花火が打ちあがる。

誰にも 熱い夏は訪れる
それは、君と恋していた頃と変わらずに

そう、夜空に花火 
熱く美しく 僕にも君にも。
2008.08.31 白いハンカチ

夏の乾いた風が心地よい。
旅は良いものだ。
ゆったりした一人旅も良いものである。
今日の旅は、箱根を抜けて小田原に来ている。
古い家が立ち並び、
城下町が‘風情’を誘う。

競輪場の横の坂を歩きながら
近くの高校の校庭から
野球部の元気な声が届く・・・・・

もう何十年前の頃、僕も野球部だった。
夏の練習は熱くハードで
そりゃぁ、連日倒れるまで猛練習が続いたものだ。
外野手だった僕は、ボールを追いかけながら倒れた事がある。
気が付くと芝生の上で、
吸い込まれるような青空と大きな雲がはっきり見えた。
目を開けると
見知らぬ同級生の彼女が白いハンカチで顔を拭いてくれていた。
まるで天使を見る様な視線を投げかけながら
ボーとしていると

『大丈夫?』

『うん・・・』

『ずっと、倒れているから心配しちゃった』

『この濡れた、白いハンカチ洗って返すよ』

笑いながらその場を彼女は去っていた。

時折、それから校舎で何度かすれ違ったけど
ひと言も話せず
話すきっかけタイミングを失っていた。
もちろん白いハンカチは返す事も無く
僕らは卒業してしまった。


帰り道、小田原駅東京方面のホームに立つ。
反対側のホームに、この夏の暑さだ
ひとりの女性が白いハンカチで汗を拭う姿が目に入る。

目と目が合った。

数十秒、何故かその時
心も目も奪われた。
反射的に軽く会釈した。
向こうも気が付き、ニッコリ微笑んでくれた。

‘もしかしたら?’

もしや、あの時の
同級生の彼女だったのかな?

‘そうであって欲しい・・・’

今宵、相模湾から いい海風が流れている
夏は変わらず 今も何かを期待させてくれる。

『君にも ほら・・・・・』

乾いた空から
果てしなく続く雲を見ている。
今日は、どこへ行くのだろうか?
ゆったりと 遥か遠く 東京の空までゆくかな?

僕は、島根の益田で小学校の先生をしている。
小さなホント小さな、小学校で
のどかな田舎で毎日教壇に立っている。

彼女は東京で、小さな出版社で働き
いつかの大きなチャンスに向けて懸命に働いている。
夢は物書きだそうだ。

大学の頃から付き合っているから
ふたりの歴史は長いかな~
9年にもなるから 来年は10周年。
働き出すとあっという間だ。

最近、何よりも彼女の仕事が忙しい。
遠距離恋愛だから、ここ数年
ゆっくりと逢えず
一年に一度しか逢っていない。

‘逢えない分が愛を育んでいるかな?’

趣味が仕事になってきた彼女だ。


トビかタカだろうか?
上空を気持ちよく
風を捕まえ 青空を飛んでいる。
まるで、自由人だよね?
うらやましくて ずっと眺めている。

‘僕も鳥になりたいよ’

僕のひとり言は、君に届くかな?


携帯のメールが届く。

『元気?浮気してない?』

『残念~街には子供とおばあちゃんしか住んでいないよ』

他愛もない会話は、いつもの事だ。

寂しそうに彼女は決まって

『私でいいの?』 と尋ねる。

僕の答えは、今も昔と変わらず
決まっている。

『of course』 (もちろん)

‘なぜなら 今も君に恋しているから。’


夏の空は、今日も熱く 陽は燃えている。
風が 今日も心地いいよ

‘The blue sky is always connected to you’
 (その青空は、君の空と繋がっている) 

何も心配する必要はない。

どんなに離れていても
遠い所にいても
君と僕は、青空が続く限り
いつまでも繋がっているのだ。
『僕はもう一度 恋をする事が出来るだろうか?
 あれから 誰とも 恋をしていないよ・・・』

学生の頃、東京に住んでいた時がある。
もう20年前の話さ
酒屋を継いだ僕は・・・

今日も天守閣‘丸亀城’から眺める景色が綺麗だ。
遠く遥か、瀬戸大橋は見れて瀬戸内の海が見れる。
誰もがときに、海を渡り遠くへ行きたい時があるだろう?
嫌な事があったり
何か大きな決断をする時は必ずここへ来る。
遠い瀬戸内の碧い海を眺めているのが好きだ。
僕はこの街で生まれ、この街を愛している。

碧い海は、時に何かを呟いて来る。

‘そろそろ恋をしろよ?’

苦笑いしながら 今日も配達先を周る。
城下町を歩き
気さくな人たちとの会話が日常を包む
ゆったりした時間が時を刻んでゆく
そんな、いつもの街の曲り角を通った時
麦わら帽子の白いワンピースの女性が僕の目に映る。

‘誰かに似ている’

答えが分かっているのに
今も君を求め探している。

『ねぇ、もう誰かと幸せに暮らしている?』

似ている女性を見るとダメだね
目を追ってしまうよ

‘One is still ’(今もひとりなら・・・)

軽くつぶやいてみる。
今日も西風が優しく微笑んでくれる。
地平線の先には、何があるのだろうか?
そう、変わらない夏がもうじきやってくる。
僕は何も変わらない。

『今日も 静かな瀬戸内の海が綺麗だ。』
2008.05.12 遠くへ
今日もひとり 地下鉄に揺られ家路に急ぐ
初夏の風が暖かい
テレビは相変わらずのナイター中継
または、どの番組も同じようなクイズ番組が流れている。

気ままなひとり暮らしは楽に見える。
されど、窓に映る自分の姿を見ると寂しいものだ。
ひとり暮らしも もう6年になる。

別れた女房との間に子供がひとり。
来年は、中学生だ。

何故別れたんだろう?

時々、家を出た時の事を思い出す。
子供だったんだ。
何が不満だった訳じゃない
今も女房の事は尊敬しているし感謝している。

直ぐに帰るつもりで
乗った電車が止まらず

遠くへ 遠くへ・・・・・

気が付くと北陸の福井まで来ていた。

すべての物は女房に渡した。

あれから6年、僕は何を手にしただろう?
ただ、がむしゃらに働き 
休みの日は息を潜め
ホンの少しのため息の中 月の影に歌うだけさ

遠くへ 遠くへ・・・・・

ここまで来てしまった。

今日もひとり 温もりが欲しくなる夜もある。
ひとり言は 時に心を弱くさせる。

‘一夜だけの湿った肌’

僕の心はどこへ行くのだろう?
あてのないまま 空高く飛んでいるよ

1枚の家族写真は、
今日も女房と子供が
あの頃のまま 笑っている。

春も夏も秋も冬も
遠くへ 遠くへ・・・・・・

こんな思いは久し振りだ。
この歳でも
今も一途な想いに夢中になっている。

‘人を好きになる’

まるで少年のように
魔法に掛かっているように・・・

君に逢いたくて仕方がない。
9時41分発の便に乗り込み大分へ旅立つ。
そう、君の住む街へ

『君に逢いに・・・』

でも、家族がいるんだ互いに。
親との約束で地元に帰らないと行けない
君は3年前に、地元の人と見合いで結婚し
僕は2年前に同じく見合いで違う女性と結婚した。

出会いは、
10年前、君がまだ東京にいた頃、同じ会社で知り合った。

最初の印象は最悪だったよね?
君はかなりツンとしていたし
年下の僕を相手にしないって態度だった。
僕も苦手なタイプだったし・・・

そう ‘ひとつ上の彼女’ だった。

仕事は僕より遥か出来る人だった。
営業でチームを組まされる事も多く
ひとつの仕事を二人でやり終えた後
夏が来る前に、同じ夢を追いかけた。


忙しい東京で、
互いに背伸びをしながら
7年間の間、互いに幸せだった。


別れは突然、
向こうの両親が現れ 
約束通り 君を連れて行ってしまった。
彼女は一人娘だったんだ。


目の前が真っ暗になったとはこの事だ。
荒れるように違う女性と恋に落ちても
僕の心は・・・
君を求めていた。
妻がいながらも・・・・・・・


どうしても抑えられない感情から
昨年の暮れ、電話を掛けた。

震える声も 懐かしい息遣い
そして 君の思いも僕の思いも
あの頃と変わらずに、

『Yes・・・・・』

互いに忘れようとしても忘れられない
捨てようとしても捨てられない想いがある。

静かな木々が詠っている。
通りに出て、名前を読んでみる。
街路樹がほら、優しく微笑んでくれる。
僕らの唯一の味方だ。

誰に認められなくても
答えは二人の中にある。

『Even if is not recognized by anyone; ...』
(誰に認められなくても・・・)


翌日、朝になると僕は君を残し
東京に帰る。
二人には、違う生活がまた待っている。

静寂の春の光が眩しい。
飛行機の窓から 大分の街が遠ざかる

『今度逢えるのはいつだろう?』
2008.03.30 ひとり桜

全国で桜が咲いている。
テレビを見ていると都心の方では
花見の映像、上野公園の夜桜が綺麗だ。

東北仙台に住む僕は
東京を離れて3年が経つ。
東京では不動産の営業を8年勤め
年老いた父の跡を継ぐためこっちに帰ってきた。
そう、家業は老舗の酒屋5代目だ。

仙台の青空は今日も綺麗だ。
広瀬川を少し歩き
休みの日、良く訪れる所がある
大好きな‘青葉城’だ。
僕の癒やしの場所である。

しばし、城内から仙台の街を見ていると
メールが届いた。
‘桜付きの写メール’だ。

相手は・・・

東京に住む元恋人だ。

毎年、桜が咲くと君は何も変わらず
写メールを届けてくれる。
そう、今年で3回目の満開の桜写真だ。

『綺麗な桜写真ありがとう、元気か?』

返信メールを届け
上空を見上げてみる
雲何ひとつない青空の中を
1機の飛行機がどこかへ飛んでゆく。
もしや、君の街へかな?

桜並木を歩く
こちらの桜はまだ咲いていない。
つぼみのまま・・・

ひとり言をつぶやいてみる

『君は誰かに華を咲かしているだろうか?』

良い恋をしていて欲しい。
僕には何もしてやれないから

目を閉じると
東京での暮らしを思い出す。
君の笑顔も桜の美しさも
その中を歩めた事も・・・・・

仙台で見る、ひとりでの桜は、
今年で3年目を迎える。
来週には桜が咲きだすだろう

でも・・・ひとり桜

『何で横に君がいないのだろう?』

僕は地方都市、栃木の足利に住んでいる。
今日も定時で仕事が終わり
いつもと同じ時間、家路へと急いでいる。

薄暗く光る夜の星は、今日も綺麗だ。
その星の周りを通り過ぎてゆく
夜間飛行機を見ている。
どこへ行くのだろうか?

北か南か、

それとも・・・・・

テレビはいつもと変わらない番組が放映されている。
ニュース番組もドキュメンタリーも
そしてドラマも
僕が見たいのは、その後のストーリー。

子供は、今日も遊び疲れたのだろう
可愛い寝顔をしながら寝ている。
頭を撫でながら

『Happiness is  the  first 』 (幸せが一番だ)


妻は共稼ぎで疲れた顔を僕には見せない。
そんな彼女に僕は頭が上がらない。
少し甘酸っぱいワインをふたりで乾杯をしながら
少し夜風に吹かれる。

頭上には、綺麗な星屑が輝いている。
幾千もの星の光が綺麗だ。

星の長い一生を考えたら
僕らの人生なんてあっという間だ。

時々思う。
人生、行き急ぐことはないんだ。
自分のペースで歩めばいい
無理にあせらず
そして、愛する人がそこにいれば
それだけでいい。

妻の顔を見る。
少しやつれてきたかな?
何気ない日常、いつも妻と子供がそこにある。
そんな日常を大切にしたい。

『綺麗だ・・・』

『星と私どっちが?』

『もちろん君の方だよ』
2008.02.17 Yes, darlin'

もしも 今も
ひとりで暮らしているなら
この夜空の星をみているかい?
酔わずにいられない夜もあるよ
寂しがりやさ 君がよく覚えてるだろう?

夢を失い、君をなくした事も
色褪せながら
毎日を忙しく生きている
まるで歯車の部品のような色になり
今日も夜遅くまで働いて・・・

でも、駆け巡る言葉は ひとつ
 
‘Yes, darlin' I want to meet you ’


もしも また
東京に戻ってくる事があるのなら
もう一度 やり直そう?
そんな馬鹿げた事を
今もひとり言のように つぶやいてしまうんだ

光を失い、自由をなくした事も
濁りながら
毎日を戦いながら生きている
偽善者になるような うわべにこだわって
今日も北風に吹かれて・・・・・

でも、駆け巡る言葉は ひとつ

‘Yes, darlin' I want to meet you ’

月の横にある星が
あぁ、夜空の光が増して微笑んでいる
巡りあいの中 今日も
ふたり きっと どこかで結ばれてる
あの星のように 

『ほら、流れ星・・・・・』 


そして、駆け巡る言葉は ひとつ

‘Yes, darlin' I want to meet you ’
二年振りに東京に大雪が降る。
僕らは明け方、ずっとその雪を眺めていた。
何年経っても
ふたり 寄り添いながら・・・

彼女との出会いはそう何十年前の大雪の日だ。
当時、僕はコンピューター関係の専門学生で、
彼女は、栄養士の学校に通う学生だった。

‘武蔵境’で、飲食店でバイトしている僕は
学校が終わると夜9時まで働いていた。
彼女の方は、近くの雑居路にある花屋でバイトをしていた。
その花屋の前を通ると
彼女が花に囲まれている姿が眩しかったのを覚えている。


その日は、朝から雪が降るぞという寒さ
予報でも大雪マークの日だった。
バイトが終わる頃、本格的に雪が降ってきた。
今もそうだが傘を持ち合わさない僕は
駅までびしょびしょのまま
急ぎ駅まで走っていった。

ホームは混雑していたのを覚えている。
しばらくしても電車が来ず
苛立ちを隠せず、駅の端の方に行くと
彼女が立っていた。

しばらくすると目と目が合った。

話しかけてきたのは彼女の方だった。

『店(花屋)の前を良く通りますよね?』

『近くでバイトをしているんだ』

それから打ち解けるように
色んな話をした。
趣味、学校の事、テレビの話題、家族、友人
昔の恋の話など
時間や寒さを忘れて・・・・・・

そして、電車が走り始めた頃

もう、ふたり ‘手を繋ぎ合っていた’


もし、あの日、雪が
大雪が東京に降らず、電車が止まらなければ
どうなっていただろう?
互いは互いを知らずに、
どこかで別々の人生を歩んでいたのかな?

そう思うと、大雪がふたりの運命を
何かの力に引っ張られながら
呼び込んでくれたのかも知れない。


雪がどんどん積もってゆく
今日も明日も ふたりには 何も変わらず
白い銀世界が広がってゆく

ほら、雪のワルツを踊りながら

『今も君に恋している』

疲れた身体 休ませてあげたい
しばし休息が必要なほど疲れている。

『毎日何故こんなに働くのだろう?』

今日もお決まりの夜遅くまでの残業だ。
3階のフロアーは、
僕の部屋しか灯りが点いていない。

身も心もクタクタさ
深夜の静寂から ラジオが流れてる。
どの歌も どの声も僕にとっては
無機質な物に聞えてしまう。

そんな僕が
目を閉じて想うのは・・・・・・ 

弱い僕が勝ってしまう時がある。
どこか 消えてしまうか
人間関係・愚痴・人生・・・・
すべてを投げ出したら
君は、僕をどう思うだろう?

携帯から君からのメールが届く

『夜遅くまでお疲れ様。ご飯は何を食べたい?』


君の優しさに 心が震える 
疲れた身体も
十字路に迷い込む思いも
すべて 吹き飛ぶよ


家に帰るため地下鉄に乗り込む
色んな人がいる。
僕と同じように、夜遅くまで仕事だったのだろう。
顔を見れれば どの顔も疲れ切った顔をしている。

時折映る 
電車の窓 自分の顔を見ながら
自分を見つめ直す。

持て余した心を諌めるように

僕だけではない
誰もが 人生と戦っているのだ。

そして、守るべき物があるだろう?


家のベランダから
今にも雪が降りそうな夜空を見ている
しばらくすると
今年初の雪が東京に降ってきた。

ふたり 雪のワルツを見ている。

『キレイ』

『君の方が綺麗だよ』

『嘘つき!!』

寄り添いながら 君の横顔を覗き込む

僕には君がいる。

『It is healed by your voice』

 ‘君の声に癒される’  そう、いつだって。

今日は、12月24日クリスマス・イブの日。

街のイルミネーションが眩しい。
世間じゃ祭日だね、
そんな休みの日だというのに
僕も彼女も夜遅くまで今日も仕事だ。

僕らは大学の頃からの付き合いで
今年のクリスマスで6年目になる。

僕らは社会に出て
彼女は大手のデパートに就職し売り場で働いている。
秋からは大宮の新店に配属され
最近では、売り場を管理する責任者になり
毎月休みが殆どないほど頑張っている。

僕の仕事は印刷屋の営業だ。
年末、この時期は暮れ・新年号の印刷物で
朝から晩まで忙しい。

みんなに言われるのだが
性格が似ているらしい・・・・・
顔もどこか似てきたなんて事も言われたりする。
考えている事も似ているのだろう
のんびり屋な所もだ。

ふっと・・・・・
こんなことを時々思う。
毎日逢っていた頃が子供なら
滅多に逢えなくなったが、今は互いを尊重し合い
忙しい生活の暮らしの中で
少しずつ大人になってきたのだろうか?

時計の針は、21時近くになり
何とか僕の今日の仕事もやり終えた。
急ぎ、地下鉄に乗り近くのスーパーへ向かい
余り物のケーキを買って
彼女のアパートへ向かう。

彼女は、まだ仕事を終えていない。
メールには

『遅くなりそう・・・』

夜遅く、テレビはまだクリスマス番組で盛り上がっている。
ひとりベランダに出て
タバコを吹かしながら星空を眺めている。

日がもう少しで変わる頃、走ってきたのだろう
ボサボサ頭の彼女が帰ってきた。
手には、僕が買ってきた同じようなケーキを持っている。

二人笑いながら

『買っているなら買ったと言ってよ』

僕は苦笑いしながら

『また、明日食べればいいよ』

彼女も笑いながら

『でも、選ぶケーキは一緒だね』


小さなケーキの上に
‘6本’のローソクを立て
僕らのクリスマスが始まる。

派手な演出も今年も無いけど
心で二人でクリスマスの唄を奏でている。

いつも見慣れているけれど
君の笑顔を見れれば それでいい

今年も来年も永遠に、
そう、君と変わらず唄うのだ
クリスマス・ソングを・・・

‘Merry Christmas’ 
僕は劇団員で、
毎日のように旅暮らしが続いている。
今日もバスに揺られ
次の公演先の山形・酒田へ
仙台から先程着いたばかりだ。

自由な時間が少しだけあり
僕は迷わず街に出た。
街を少し歩くと綺麗な‘最上川’が見える。

酒田という街には縁がある。
そう、昔の彼女が住んでいる街だ。

彼女は、僕と同じ劇団員だった。
ひとつ年が上だったが
地方出身の僕らはすぐに仲良くなった。

彼女は当時、主役の役が多く僕は脇の役が多かった。
劇団の顔役だった彼女はいつも輝いていたよ。

いつからか交際が始まったのだが
劇の中で少しずつ役を貰い、
僕にも人気が出てきた頃

僕は違う女性と浮気をした。

ほんのちょっぴりの出来心だった。

そんな僕に失望したのだろう。
彼女は、しばらくして劇団を辞め
僕の前から去っていた。


彼女の故郷、山形・酒田市。
雪景色がやけに綺麗だ。
今日の北街角は、誰になく
そう、心も熱い。

僕は‘酒田’と書かれた駅のホームを
ずっと眺めていた。

呆れるぐらいに・・・・・・・・・・

時計の針は、午後15時29分。
戻らなければならない時間だ。

ホテルに向かう途中
すれ違う女性と肩先がぶつかり合う。

『すいません』

顔は見なかったが、ひと言だけ謝り
何故か懐かしい香りが・・・
もう一度だけ、北街角‘酒田’と書かれた駅名を見る。

『元気に暮らしているだろうか?』


ひとりの女性が現れ、若い駅員さんに尋ねる。

『ここに、男の人がいませんでしたか?』

『いましたよ、ずっとそこに立ち
 誰かを探しているように見えました・・・』
‘SORRY’・・・・・・

二年ぶりに、この街に来たぜ
辛い街さ お前探しに・・・・・・

電車に揺られ、群馬の桐生市に降りる。
久し振りに見る街の光景は
少しずつ変わっている。
あんな所に、大きなビルがそびえ立っていて
なじみの店は消えている。
それでも、
川の美しさや山の紅葉は何ひとつ変わっていない。

俺は酷い男だった。
お前と結婚を約束をしながら
夢を追い続けて、他の女と結婚してさ

仕事?順調だよ、
今度、大きな仕事を任されて
‘AMERICA’に行く事になったんだ。
今更、逢って何も言える立場ではないけど

『元気か?今もひとりかな?』


通りに出て、後姿がお前に似た女性に出会う。
まったく関係のない女性の横顔見ながら

『誰よりも幸せになって欲しい・・・』


時計の針は、午後6時を過ぎている。
歩きながら、ひとつひとつの
お前との瞬間(とき)を思い出す。
ポツリと好きな色は‘青’が好きって言ってな。

駅前を通ると
小さな花屋を発見する。
花の名前は分からないけど
綺麗に花咲く 青い花を見ながら
何も出来ないけど

‘心の中で、お前に‘花束’を・・・・・’


ひとり言をつぶやく
通り過ぎるしか ない 俺さ

『こんな、この俺に何を期待したのか?』

『夢で出来た、この俺に・・・・・・・』


今日も夜間飛行は、星空を走り回る。
ゆっくり、時の狭間を揺れながら

『お前は、何処へ飛んでゆく?』

西の空から

星の輝きが微笑んだ。
2007.10.27 遥か儚く
    
窓を開け都会の空を見ている。
いつも思うが空は自由だ。
その中を心地良さそうに
ゆったりと鳥達が飛んでいる。

『鳥のように自由な翼があれば・・・・・』

誰もそう思うときがあるだろう?
デスクに腰掛け
都会の狭間に揺れながら
今日も駄々と日々を打ち込む。

『君を失くしてから
 僕の心は閉ざされたままさ』

何をしても誰が現れても
何処で歌っていても
昔のようにときめく物もない

解っているのさ

答えは

‘そこに君がいないから・・・・・’

18の時、すべてを賭けて
君に‘さよなら’を告げ
夢に燃え 田舎を捨てて東京に出てきた。
手にした物は? 
夢は 遥か儚く
今日も青空を見てるだけ
何故か今も虚しい

『I want to return to the town where you are』

 (君のいる街へ帰りたい)


つぶやいてみる。

ほら、かすかに
遠い雲の向こうから
変わらず 優しく
君が微笑んだ気がした。

横浜・関内の駅前、悪友4人で飲んでいる。
彼らとは、高校の時から皆陸上部で
同級生だ。
そうそう、僕らはリレーのメンバーだったんだ。
僕達は県予選を好タイムで勝ち進み
あと一歩でメダルは届かなかったけど
関東大会の決勝まで走った仲間だ。
いつも集まれば昔も今も子供のまま
こんな事を言い合っている。

『お前のバトンが上手く俺に渡せれば記録を0.04更新できた』

『いや、お前がちゃんともっと熱を入れて練習をしていれば・・・・・』

僕らは、果てしなく昔のことをいつまでも面白おかしく語り
僕はただ、そんな仲間を見ながら
黙って笑っている。

ひとりが何気なく僕に話を振る。

『そう言えば、ケンジは何故‘エリ’と付き合わなかったんだ?』

突然の問い掛けに、苦笑いをしながら

『振られたんだよ』


遠い記憶が蘇る。
彼女を初めて見たときに
ひとめ惚れに近い感覚はいつも思っていた。
高校の3年間ずっと同じクラスでいながら
照れ屋のせいもあって、なかなか話すきっかけが作れなかった。
女の子はどちらかと言えば、うん苦手だった。
そんな僕を知っている悪友の彼らは
エリと僕をくっ付け様と色んな悪戯をしてはしゃいでいた。

でも・・・みんなには内緒にしていたが
エリとはデートらしい事を一度だけした事がある。
照れながら映画デートを誘うと

『OK』

横浜の映画館へ『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を観に行った。
映画の内容も覚えていないほど
内心は、緊張をしていて
どんな話をしたかはあまり覚えていない。
たった一度のデートだった。

その帰りに、
舞い上がりながら聞いた言葉がある。

『僕の事をどう思ってる?‘Like or Love’ ?』

間髪に、

『Like かな?』
 
そのひと言を聞いて僕は逃げ去ってしまった。 


そんなある日、久しく訪れていない
母校の校庭を眺めている。
面影は何も変わらず
今も昔のままさ

僕はそんな面影に向かいながら
綺麗な秋空に向かって
語りかける。

『今も変わらず‘Like’のままかい?』

何故だろう?はっきりと
遠い空からエリの声が聞こえる。

『ううん、あの時は恥ずかしくて言えなかったけど・・・
 今なら、あの時言えなかった事をちゃんと言えるよ』

  ‘‘限りなくLoveに近い、Likeかな’’


ふんわり浮かんでゆっくり流れる雲が
秋の趣を感じる 。
今も過去は美しいまま

『女心と秋の空』

僕は、苦笑いをしながら
そんな空を、いつまでもずっと眺めていた。

僕は旅に出ている。
無性に何処か遠くへ行きたくなる。
誰もがひとりになりたいと思う時があるだろう?

雨が数日降り続いていた。
あれほど猛暑と言われた夏が終わり
秋を迎えたススキが街にそびえ立つ。
風も心なしか心地よい

そう、気ままな人生を送っている。
街の観光史跡跡を歩くのが好きだ。
今日は‘岡山の後楽園’を歩いている。

昨日の大雨のせいだろうか?
雨に打たれた花が萎れている。
あの暑さにも雨にも負けなかったのだろう
それでも、ひっそりと1本のアサガオが
まだ咲いていた。

導かれるように
アサガオを眺めていると
10歳ぐらいの女の子だろうか、
僕の側にやってきて声を掛けてきた。

‘誰かに似ている’・・・・・

『何見ているの?』

『綺麗なアサガオを見ているんだ』

『ママもこの花が1番好きだって言っていたよ』

女の子の頭に手をやり

『おじさんもこの花が1番好きだ』

『ママは好きかい?』

『大好きだよ!!』

『そうか』

僕は女の子の笑みを見て
何故か、昔彼女が言った
‘アサガオ’の花言葉を思い出した。

 『明日もさわやかに』

ふっと思い出すように
彼女の面影が脳裏に焼きつく
ひとり頷きながら

 『儚い恋』

懐かしくもある 風が頬に伝う秋風
誰もが切なさを持っている。

ニコッリと微笑んで僕はその場を去った。



『ナナ、何しているの家に帰るわよ』

『うん、さっきおじさんがずっとこの花(アサガオ)を見ていたよ
 ママと同じで、この花が好きだって!』

『どんな人?』

『うん~パパと全然似てないけど、カッコ良い人だったよ』
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